ラン科の優美な高山植物「チドリ」の中で、最もよくお目にかかるのはハクサンチドリであろう。中部以北の訪れた高山で大抵お目にかかる。礼文島まで北上すると、標高200mでも見られる。「チドリ」とはよく名付けたもので、花をよく見ると飛翔するチドリの姿が連想される。その姿は何度見ても飽きず美しい。テガタチドリ、ノビネチドリと並んで、赤いラン科の花の代表である。 花の色は随分と変化があり、赤紫の濃い色から淡いピンク、更には白色のものもある。北海道の礼文島や大雪山で撮ったものは、花色が濃く背丈が低いが、中部山岳で撮ったものは比較的色が薄く、背丈は高い。花の形はよく見ると複雑で、長い距を持ち、チドリの飛翔を思わせる側萼片と背萼片は鋭く尖っている。唇弁は平たく円盤状であるが、濃い紫の模様があり先端は尖る。花の部分の名称を5枚目の写真に付けてある。花期は6-8月と長い。 学名は Dactylorhiza aristataで、ラン科ハクサンチドリ属の多年草である。北海道および中部地方以北の高山に分布する。 |