「そよご」、何とはなしに心惹かれる名前である。葉が波打っており、風にそよいでソヨソヨと音を立てるからだという。「冬青」という漢字も不思議である。常緑樹は沢山あるのに、どうしてこの木にだけ「冬青」という字を充てるのだろう。ソヨゴは関東以西の山地ではとてもよく見る常緑小高木である。 モチノキ科の木は冬の実が綺麗なので庭木としてよく使われるが、クロガネモチやモチノキと違って、実の密集度が少ないソヨゴはあまり使われないようだ。しかし、長い柄の先にひっそりと赤い実が付く風情は捨てがたい。雌雄異株であるので、よく注意しないと花は見られても、赤い実を見ることが出来ない。 ソヨゴの花は目立たずに5月に咲く。長い花柄の先に付く清楚な花は印象的である。その素敵な花の咲いた写真を愛知の稗圃さんから送っていただいた。お便りには「ソヨゴの花は善師野や岐阜県揖斐川の山などで見ましたが、これは5月24日に豊川市内で撮ったものです。」とありました。写真の花は雌花である。花の中央部の雌しべが目立っている。雄花では中央部の緑の盛り上がりがほとんど無い。 そのソヨゴの雄花に、東山トレイルの清水山を歩いていて出会った。幹から直接に出ているものと、(雌花の場合と同じく)葉の上部に出るものとがあるが、いずれの場合も花は複数個付いている。4本の雄しべがよく見えるが、雌しべは退化している。 学名はIlex pedunculosaでモチノキ科モチノキ属である。別名は「フクラシバ」と呼ばれるが、これは、葉が肉厚で表皮が強く、火であぶるとその部分がプックリと膨れるからである。 |