木の同定はなかなか難しい。箱舘山で見つけたこの木は、花の時期とその形・付き方から深山桜と同定していたが、どうも葉の綺麗な側脈が気に入らない。幹にも違和感がある。数日おいて、パラパラと植物図鑑を眺めていたら、ピッタリの葉が目に飛び込んできた。「アズキナシ」である。「アア、これだ」。ようやく気持ちが晴れた。 堂々とした巨木である。花はまばらであるが、今しも新緑が美しく、特にこの木の葉は側脈が綺麗で、見栄えがする。花の白さも、若葉を背景に目にしみるようだった。ただ、木が大きく花が高かったので、10倍ズームで撮影せざるを得ず、花の接写は撮れなかった。 花は5-6月に咲き、10-15mmほどの5弁の白い花が複散状花序に付く。8mmほどの小さな実は秋には赤く熟し、小豆を連想させる。 学名はSorbus alnifoliaで、バラ科ナナカマド属である。日本全土に分布する落葉高木。 ******************************************** 月山の森では、まだアズキナシが綺麗な花を付けており、比較的背の低い木が多かったので、近くからの撮影に成功した。近畿の山とは1ヶ月程度の時間差があり、タニウツギ、オオカメノキ、タムシバ、ヤシオツツジが美しく咲き、色々なカエデの木の花が楽しめた。(2003.6.14) |