アツモリソウと同じ大きな袋状の唇弁を持っているが、アツモリソウが紫色であるのに対して、レブンアツモリソウは上品な淡黄色であり、花はやや小さい。アツモリソウは、その袋状の唇弁を平家物語の平敦盛が背負った母衣(ほろ、背後からの矢を防ぐ武具、最下段参照)に見立てて名付けられており、とても人気がある。 希少種である淡黄色のレブンアツモリソウはそのために全島で盗掘され、今ではほとんど絶滅に瀕している。絶滅から守るために、残されたレブンアツモリソウ群生地は柵を付けて保護され、礼文島高山植物培養センターでは栽培が試みられている。その甲斐あって、植物培養センターではかなり株数が増えてきている。しかし、元に返すには長い年月を必要とする。盗掘は厳に慎みたい。 レブンアツモリソウ群生地で写した花は、花期をやや過ぎていたが、礼文島高山植物培養センターでは、まだ美しい形のものを写すことが出来た。花期は標準的には6月である。なお、レブンアツモリソウは虫媒花で、ニセハイイロマルハナバチがネムロシオガマの花と間違って袋状の唇弁に潜り込むことによって受粉されると言われている。従って、繁殖のためにはニセハイイロマルハナバチがネムロシオガマの保全も大切であるとされる。 学名はCypripedium macranthum var. rebunenseで、ラン科アツモリソウ属の多年草である。北海道礼文島の特産で、湿った草原に生育する。 |