今年のユリノキは5月中旬からぼつぼつ咲き始める平年並みのペースで、京大農学部の建物の東面は、今ユリの木の花が満開である。昨年は半月早く、連休にはもう咲いていたのを思い出す。 今年は幸い背伸びをすれば届くくらいの所に花を見つけて至近距離から撮すことが出来た。なかなか素晴らしい花だ。 ユリの木は外国でチューリップツリーと呼ばれている。大正天皇が皇太子であった時に「ユリの木」と名前を付けられたという話であるが、花の形を見ているとやはりチューリップの方が妥当であろう。とはいえ、ユリの木という名前のほうが何となくロマンティックで、どんな木だろうと興味を引かれる。学名のLiriodendronはLily-treeの意味で、こちらも「ユリの木」の意である。 4月にはまだ、小さな葉が付き始めたばかりだが、6月には(1998年は5月)沢山の花を付ける。花は緑色で、葉に紛れて見過ごしやすいが、下半分が朱色味がかっており、よく見ると確かにチューリップの形である。豊中からバスで千里中央に行く途中の、千里西町から千里中央にかけて、素晴らしいユリの木の並木がある。 ユリノキは花がないときでも、その葉の特徴から直ちに同定できる。浅く3裂しているが、中央の葉の先端が大きく凹の形になっており、他にこのような葉は見ない。また、初冬まで梢に矢車のような翼果が残るのも特徴的である。 学名はLiriodendron tulipiferaで、モクレン科ユリノキ属の落葉高木である。北アメリカ原産で、明治初期に渡来した。最も古い株の一つが東京の小石川植物園にある。 |