ヤチダモ (2001.9.26、2004.6?(西村さん))
 Fraxinus mandshurica var. japonica


 ヤチダモは、北海道と本州北部に自生する雌雄異株の落葉高木である。堅くて加工性の良い材は、タモとよばれて、野球のバットやラケット、家具にも使われる。札幌在住の西村さんからヤチダモの巨木の写真が届いたのを契機に、以前に北大植物園で写した写真を載せた。西村さんからも幹の拡大写真など幾つかの写真を頂いた。
 花は5月頃に咲き、その後の翼果が永く残る。同じトネリコ属のシマトネリコやシオジの翼果に似ている。これらの木はいずれも奇数羽状複葉で分かり易い。シマトネリコは全縁であるが、ヤチダモとシオジは鋸歯がある。シオジは関東以西、ヤチダモは中部以北と、本州を南北に分けて分布している。
 ヤチダモで有名なのは「雪虫」の話である。雪虫は、北海道で雪の降り出す頃に飛び回る、白い綿毛をまとった2-3mmの小さな虫である。雪のない夏から秋にかけてはトドマツの根に寄生して繁殖するが、10月後半には羽の生えた白い成虫となり、一斉に空中を飛んでヤチダモに移動する。ここで生まれた子虫がヤチダモに卵を生み付ける。越冬した卵はヤチダモの葉が出る頃にかえって成虫となり、6月には、再びトドマツに向かう。
 学名はFraxinus mandshurica var. japonicaで、モクセイ科トネリコ属である。

ヤチダモの巨木(西村さん撮影)


札幌、北大植物園のヤチダモ−9月



                                       比較的丸い葉もあるようだ


ヤチダモの樹皮(西村さん)


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