ミヤマキリシマ−深山霧島 (2010.5.6)
 Rhododendron kiusianum Makino


 娘家族と剣山に登った帰りに高知に立ち寄った。高知を選んでくれたのは、私が牧野植物園に行きたいだろうと察してくれたためである。牧野富太郎博士(1862-1957年)は、植物が好きな人なら誰でも知っている「日本植物学の父」と言って良い人である。大抵の方は書店か図書館で「牧野日本植物図鑑」を見たことがあるのではなかろうか。牧野博士は高知県の出身で、小学校中退であるが東京大学から理学博士の学位を受け、晩年には文化勲章を授与されている。
 牧野博士は2500種にのぼる植物命名を行い、その中には600種以上の新種があると言われるが、命名で代表的なものの一つが「ミヤマキリシマ」である。学名の後ろにMakinoの文字が入っている。牧野植物園のほぼ中央に沢山のミヤマキリシマが植えられており、訪れた時期が良かったので、その花を堪能することが出来た。雨の中だったのが少々残念ではあるが..。
 ミヤマキリシマは、その名の通り霧島、阿蘇、雲仙など九州中部の標高1000m程の火山性高原や山に自生する。密に枝分かれして高さ2mほどになるが、山頂近くでは低木となる。葉に特徴があり、1-2cmと小さいが多毛で裏には褐色の毛が生える。花も3cm程の小型であるが、写真のような紅紫色のほか、朱色、淡紅色、白色など様々である。花期は5−6月で、鹿児島県・長崎県の県花となっている。
 学名はRhododendron kiusianum Makinoで、ツツジ科ツツジ属の半落葉低木である。長崎では別名をウンゼンツツジとも呼ぶが、別種にウンゼンツツジがあるので紛らわしい。九州中部の火山性山地に分布する。

残念ながら、雨中の撮影となった。やや早いので蕾が多い。




雄蘂は5個で、花糸の下半分に毛が生えている。雌蘂は無毛。



全体の様子


ミヤマキリシマの葉−表裏とも多毛である。裏面は褐色の毛がある


牧野植物園にある牧野博士像


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