シュロはよく見かける木である。自生地は九州南部であるが、公園や学校、そして民家にもシュロの木が植えられている。近くにシュロの木が1本あると、鳥が運んだ実生があちこちに生えてくる。気が付いたときには随分の大きさになっていることが多い。 そのシュロの木の写真を、よしゆきさんが送って下さった。「なぜかシュロがないようなので送ります。子供の頃、父親がこの葉でハエたたきを作ったり、繊維でシュロ縄を編んだりしていたことを思い出します」。たしかに、昔は葉や繊維が縄や箒や細工によく使われたが、最近は総て化学繊維やプラスチックにとって代わられて、自然のぬくもりが減ったように思う。この機会に、私自身の撮り貯めていた画像を加えてシュロのページを作ることにした。 シュロは幹が円柱状に伸びて5−10mになるので、高くなってしまうと剪定も出来ず成り行きのままとなる。5−6月に大きな円錐花序を出して黄色い花をビッシリと付ける。雌雄異株であるが、雄花・雌花以外に両生花も見られる。扁球形の果実が生長し、10月頃に濃藍色に熟す。葉は50cm以上の大きさになるが、途中で折れ曲がることが多い。類似の品種に「トウジュロ」があるが、こちらは葉が折れ曲がらないので、シュロと区別できる。 学名は、Trachycarpus fortuneiで、ヤシ科シュロ属の常緑高木である。九州南部に自生するが、公園樹としては全国に広く植えられている。 |