「ナンヨウスギ」と書いた名標板に2度出会った。最初は指宿の長崎鼻フラワーパーク(2004年)で、次は沖縄亜熱帯植物園(2007年)である。ところが、2つの木は異なっていた。よく見ると、学名の最初の部分(属名)はAraucariaであるが、後ろの部分(epithet:種小名、形容)が異なっている。前者はheterophyllaであり、後者はcunninghamiiであった。 Araucaria heterophyllaは「シマナンヨウスギ」と呼ばれることが多く、オーストラリアのノーフォーク島の特産であるとされる。英名はNorfork island pineである。この木は葉に大きな特徴があり、写真で見るように開かずに長く伸びて、まるで絨毛のようである。特別巨大にはならないので、街路樹にも使われる。 沖縄亜熱帯植物園にあったcunninghamiiの方は、60mにもなる高木であり、葉は短く鋭い棘状になっているのが特徴である。英名はHoop pineと呼ばれる。ハワイのフォスター植物園のKapokと呼ばれる巨木の後ろにあるが写真を撮っていなかった。Kapokを写した写真の後ろに僅かに見えているのを拡大てみたが、木の高さがよく解る。 最後に、Araucaria columnarisと呼ばれる木がある。この木はフォスター植物園でひときわ目を引く存在で、Cook pineと呼ばれている。columnarisとあるように、カラムや柱のように、横に張り出さず上に上にと伸びていく。 学名はAraucaria *****で、ナンヨウスギ科ナンヨウスギ属の常緑高木である。これらの木は、元北半球にも生えていたが、大陸移動で南半球に移動したものだけが現在も残っており、北半球には自生しない。オーストラリアから南アメリカの間の南太平洋の島々に多く見られる。 |