初めて幹を見たときにはびっくりした。まるで忍者用の手裏剣やマキビシを幹に打ち付けたようなトゲである。これではとても登ることは出来ない。サイカチという名前も不思議な響きを持っている。元は「西海子」と呼んでいたのがサイカチに変わったと書いてあるが、もっと深い由来がありそうに思われる。 京都府立植物園のアジサイ園の奥に大きなサイカチの木がある。サイカチは雌雄同株の筈であるが、この木に花が咲いたのを見ない。一方、北門の近くにはトウサイカチの大きな木があり、この下にはいつも長さ20-30cm、巾3cmほどの巨大なマメの鞘が落ちているから、花が咲いているはずである。もう一本、京大理学部植物園の入口近くにやはりトウサイカチの巨木があるので、こちらに目を付けていたところ、運良く梢に花を見つけた。どうして写真を撮ったものかと思案していたところ、植物園の研究棟で電気工事をしているのが目に入った。かくして、工事のおじさんをハラハラさせながら、借りた脚立の上に立ち上がってカメラを構えることとなった。 トウサイカチの豆の鞘は皀莢(そうきょう)と呼ばれる生薬で去痰剤として使われる。一方、まめの方は、サポニンを含むので、石鹸代わりに使われた。日本のサイカチも同様に利用される。花は6月頃に咲き、その後に、大きな灰色のマメが永くぶら下がる。 学名はGleditsia japonicaで、マメ科サイカチ属である。 |