オオシラビソ−大白檜曽 (2002.8.17、2009.7.15)
 Abies mariesii


 八幡平に出かけた目的の一つは、オオシラビソ(青森トドマツ)の樹林を見ることだった。図鑑で見るような、高く巨大な樹幹を期待していたが、八幡平頂上付近の木は、みな貧相で、高さが5mに満たなかった。
 それは、冬の凄まじい寒風のせいである。八幡平のような平坦な高地では、平原を寒風が吹き抜けていく。さすがのオオシラビソもこの風のために背を伸ばすことが出来ない。雪に埋もれて、風の当たらない部分だけが辛うじて冬を越すのである。それが解って、改めて背の低いオオシラビソを見ると、彼らが勇者のように見えてくる。こんなに低い木でもかなりの樹齢に違いない。頑張ってきたのだ。
 オオシラビソは、日本特産の常緑針葉樹で、森林帯では高さ40mにも達する巨木になる。6月頃花を付け、10月頃には紫藍色の卵のような球果に育つ。八甲田山、八幡平付近に発達した純林が多いので、アオモリトドマツとも呼ばれる。津軽海峡を渡ると、トドマツがアオモリトドマツにとって代わる。
 学名はAbies mariesiiで、マツ科モミ属の常緑高木である。青森県から中部山岳地帯にかけて分布する。
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 2009年のオオシラビソは栂池で見た。さすがにここでは八幡平と異なり、すくすくと育っている。今年は特に球果が目立つ。どの木を見ても、先端部は黒く見えるほど沢山の球果が育っていた。(2009.7.15)
 同じ2009年のオオシラビソ。橋口さんが常念小屋で写されたものを最下段に掲載した。快晴の中、槍を背にして写っている。


枝は勢いよく先端を伸ばす


そして若葉が育つ


夏に伸びた先端は、冬の寒風で枯れてしまう


白い蕾のようなものは幼芽


樹皮は灰白色。                   葉の裏には気孔帯が白く見える。幼芽は苞に包まれている。

北アルプス栂池平付近のオオシラビソの樹林


オオシラビソの球果



栂池高原のオオシラビソは背が高い。


常念小屋から、槍を背景にしたオオシラビソの木と球果(橋口さん撮影、2009.8)


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