何とも変な木である。遠くから見ると松のように見え、近づいて葉をよく見ると、細く伸びた葉にはまるでスギナのように節がある。最初に見たのは石垣島であった。タクシーの運転手さんが、この木は海岸沿いに植えて防風林の役割をさせているのだと説明してくれた。次に会ったのは市大植物園で、温室の横に3本かなり大きいものが育っていた。一番最近お目にかかったのはスペインの王立植物園で、運の良いことに雌花と球果を見ることが出来た。 本種は、松のような裸子植物ではなく、被子植物に分類されているが、いかにも異端的で不思議な品種である。オーストラリアや熱帯アジアに50種ほどが広く分布するが、日本には自生していない。日本には明治初期に、カニンガムモクマオウ(Casuarina cunninghamiana)とトクサバモクマオウ(Casuarina equisetufolia)が移入されたが、繁殖力が強く、いまでは「外来侵入種」に入れられている。スペインで写したものはトクサバモクマオウ、市大で写したものはカニンガムモクマオウである。 花期はよく分からないが、スペインでは10月初旬に赤い雌花と球果が見られた。雄花は葉の先端付近に並んで付くが、今回は見なかった。市大の物では、まだ花も球果も見たことはない。 学名はCasuarina equisetufoliumで、モクマオウ科モクマオウ属である。Casuarina cunningamianaは別名をトキワギョリュウと言う。 ************************************************************** 沖縄の中島さんから、モクマオウの見事な花の写真を頂いた。今年(2005年)はヤンバルの山で、モクマオウの雄花がやけに目立つと書いてあった。(2005.5.5) |