玉田さんからの2つ目の写真は、これも希少株である「ムニンノボタン」の花である。「ムニン」は小笠原(Bonin)諸島を指し、恐らく「無人」に由来しているのだろうと言われている。ムニンツツジ、ムニンヒメツバキなど、ムニンの付く小笠原固有種は多い。 玉田さんのメールには、「...ムニンノボタンの写真を送ります。小笠原に3種あるノボタンの内の一つですが、父島内ではさらに地域によって、遺伝的に2つのグループに分かれているそうです。もう一つのグループでは5弁の花は出ない(にくい?)様です。」とある。ムニンノボタンは、戦前に東大の早田博士によって見出されたものであるが、1970年頃には父島に一株だけが辛うじて残るだけで、絶滅に瀕していると考えられていた。その1株をもとに植え戻し事業が開始され、順調に植栽個体数は増加している。その後、父島に200株の群生地が奇跡的に残っているのが発見されている。小笠原固有のノボタンとしては、この他にハハジマノボタンが知られている。 7−9月に5弁の白い花を開き、晩秋には果実となる。この実をついばむ鳥によって、固体の増殖が計られてきたと思われるが、今はムニンノボタンの実を食べる鳥が死滅して、この木も分布を拡げることが出来なくなったと考えられている。動物と植物が互いに生存を依存し合っているのである。 学名はMelastoma tetramerumで、ノボタン科ノボタン属の常緑低木である。 |