京大農学部植物園にクルミらしい実を付ける木を見つけたが、名前が解らなかったので、「このきなんのき」の林さんのお世話になった。日本では見ることのないクルミで、アメリカ原産のクロクルミであった。30m以上にもなる高木で、アメリカ東部の川沿いによく見られる。クルミの種は硬く、中身を食用にすることはあまりないが、材は強いので重宝される。 クロクルミは、ナフトキノール配糖体を葉に含み、これが落ち葉となって木の下に敷き詰められると、分解されてjugloneとなり、他の植物の発芽を抑制する。このようにして、自らの樹下の栄養分を確保するという戦略をとっている。クルミ属の木(Juglans)には一般的にjuglone前駆体が含まれるが、クロクルミは特にその量が多い。このような植物の戦略はアレオパシー(allelopathy)と呼ばれている。 学名はJuglans nigra L.で、クルミ科クルミ属の落葉高木である。北アメリカ東岸が原産地で、17世紀にヨーロッパに移入された。 |