イヌビワ−犬枇杷 (2001.2.11 豊中、2003.7.26 京都)
 Ficus erecta


 犬枇杷と書く。クワ科イチジク属の落葉灌木である。4−5月に本年枝の葉腋に 花のうが付き、秋に15mm程度になって色づく。雌株のものは食べられるが、雄株は 食べられない。
 万博公園の自然研究路には、魅力的な説明板が多い。イヌビワについても 面白い記事が載っていた。この木は雌雄異株で、受粉のために特別な仕組みを 持っているということである。とても良く書けているので、最下段に引用させて 頂きました。
 学名はFicus erectaで、クワ科イチジク属である。豊中の民家と万博公園で撮す。 別名をイタブあるいはイタビとも言う。


7月のイヌビワの雄花(孔が開いて、羽化したコバチは外に出ている)


12月の紅葉。実がだいぶ色づいている。


1月、葉がすっかり落ちている。色づいた雄木の実は硬くて食べられない。


イヌビワの幹と葉


 イヌビワはイチジクの仲間で雄花と雌花が別々に咲く、雌雄異株の植物です。これらの仲間は、イチジクが「無花果」と書かれるように、花が開かないので「花がないように思える」という点に特徴があります。
 「雄花と雌花が分かれていて、しかも花が開かないのになぜ受粉できるの?」と疑問に思う人もいるかと思いますが、じつはイヌビワは実の中にイヌビワコバチという小さなハチが入り込んでいて、この虫が専門的に花粉を運んでくれるのです。
 5−6月頃に花が咲くと、イヌビワコバチは雄花に潜り込み、中で産卵します。そこでハチの子供たちが成長します。成虫になると、ハチは外に出ていき、他の株の花を探し潜り込みます。その時、どの花に入るかでそのハチの運命が決まってしまいます。
 雄花に入ったものはそのまま産卵できるのですが、雌花に入ったものは産卵も出来ず、出ることも出来ず、閉じこめられてしまいます。どうにか出ようと、ハチはもがきますが、もがけばもがくほど、自分の生まれた花を出るときに体に着いた花粉を雌しべに振りかけていることになります。
 イヌビワの雄株はイヌビワコバチの育児、雌株は種子の生産にそれぞれ専業化しています。






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