京都の出町柳の加茂川べりに「たねげん」という苗屋さんがあって、店先に花の付いた苗木を一杯に並べている。ここで丁字桜と言う苗木を見つけた。まだ花は付いていなかったので、チョウジザクラの花を写したいと買い求めた。 4月になって、同じ苗木をお分けした吉田さんが、「花が咲きました」と写真を持ってきてくれた。花弁が筒状になっているところは丁字桜に似ているが、花の色は紫で、開き方も全く違う。実は「フジモドキ」であった。植木屋さんの間では、フジモドキが「チョウジザクラ」という名で売買されているようである。 フジモドキは江戸初期に薬草として中国から入った木で、シーボルトの図版にも出ている。バラ科でもマメ科でもなく、ジンチョウゲ科に属する木であり、桜擬き、藤擬きである。ジンチョウゲ科に属するだけあって芳香が強い。花は有毒であるが、薬草として古くから用いられている。 学名はDaphne genkwaで、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属である。別名では、サツマフジ、チョウジザクラとも言う。英名はLilac Daphneである。落葉低木。 |