アオトドマツ (2004.11.23)
 Abies sachalinensis Masters var. mayriana Miyabe et Kudo


 神戸の北に位置する六甲山は、明治時代に神戸に来た西欧の人々が開発し愛した山としてよく知られている。ここに2つの植物園がある。六甲高山植物園と神戸森林植物園である。前者は可愛い高山植物が沢山集められており、後者は森林を形成する樹木が系統的に植えられている。どちらも、なかなか素敵な植物園である。久しぶりに神戸森林植物園を訪れ針葉樹林を歩き、アオトドマツに出会った。
 モミ属(Abies)の木は、モミ、シラビソ、トドマツがその代表である。トドマツには、トドマツ(アカトドマツ)、アオトドマツ(アオトド)、アオモリトドマツ(オオシラビソ)があり、アオモリトドマツは青森を中心とする本州の亜高山帯に分布するが、前二者は北海道に分布する。
 アオトドマツは、北海道の西南部に多く、その樹皮は名の通り灰青色で亀裂は少ない。雌雄同株で、花は6月頃に咲く。紅色の雄花は前年枝の下に密に付き、雌花は散在する。黄緑色の球果は、直径25mm、高さ5cmほどで、直立して付く。エゾマツの球果が下垂するのに対して、モミ属の球果は直立するのが特徴である。アカエゾマツの樹皮は、本来灰褐色だが苔が付いて灰白色になるので、樹皮からは見分けが付きにくいことがある。アオトドマツでは、球果の苞鱗片が種鱗片よりも長く突き出て反るので、アカトドマツと区別できる。
 学名はAbies sachalinensis Masters var. mayriana Miyabe et Kudoで、マツ科モミ属である。sachalinensisはサハリン(樺太)を指す。









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