ヤナギラン−柳蘭
 Chamerion angustifolium
 2017.8.12(入笠湿原-1750m)、2010.7.18(池の平-2000m)、2011.8.20(八島湿原-1640m)


 ゴンドラで手軽に登れる入笠山の、入笠湿原と御所平お花畑を訪ねた。広い湿原には、チダケザシ、コオニユリ、コバギボウシなどが群生しており、中でもヤナギランの群生は素晴らしかった。これまであちこちでヤナギランの花を見たが、このような広範囲での綺麗な群生は初めてだった。
 ヤナギランと言われるだけあって、葉の形は柳にそっくりである。花も確かにラン科植物の花に近い。花は下から順に咲き上がるが、よく見ると上部の花は雄しべが元気だが雌しべはまだうなだれたままである。それに対して下部の花は雄しべがすっかり枯れて、雌しべが元気に柱頭を立てている。自家受粉を避けて他家受粉するための工夫であろう。花期は7−8月である。花の後は長い刮ハとなり、熟すと4裂して白い綿毛を付けた種子が多数風に舞う。
 学名は Chamerion angustifoliumで、アカバナ科ヤナギラン属の多年草である。北海道および中部地方以北の高山に分布する。北半球の温帯に広く分布し、カナダやアラスカでも見られる。

入笠湿原での群生


花の拡大。上部の花は雄しべが下部の花は雌しべが発達している。


葉は柳の葉に似ているが、僅かに鋸歯がある。裏面は白い


遠くまで群生が拡がる


花の後、刮ハが熟して弾け、綿毛を付けた種子をとばす。


草花のリストへ戻る