どの山に行っても目にする花である。5cm前後の筒状の花穂に、輪状に紫の花を密に付ける。一度見ると記憶しやすく、すぐにそれと分かるようになる。茎は四角で20−30cmの高さになり先端に花穂を付ける。花は花穂の下から上へと開花する。葉は対生で長楕円状披針形をしており、縁には低い鋸歯がある。 ウツボ(靫)とは、矢を射る武士が、矢を束ねて背負うための筒で、外側が畳表のようになっている。この形と模様がウツボグサの果穂に似ている事から命名された。 花と花穂の構造は複雑で、花穂の各段は向かい合った2つの苞に、各々3個の萼と花が付き、合計6個の花が咲く、次の段の苞は前段を90度回転させた形になっている。このような段が多いものでは10段以上続く。花は被さるような上唇と3裂した下唇からなり、下唇の中央の1枚は幅が広く鋸歯状になっている。萼は鋭く5裂し毛が生える。 ウツボグサは、花期が済んでも花穂の苞と萼が残って枯れたように見えるので、別名を夏枯草(かごそう)と呼ぶ。この枯れかかった花穂を天日干しにしたものは生薬として使われ「夏枯草」として日本薬局方にもある。利尿・消炎に用いられる。 学名は Prunella vulgaris var. lilacinaで、シソ科ウツボグサ属の多年草である。花期は6−8月。日本全土の山野に生える。 |