見応えのある花で、初めて見たときには思わずオッと声が出た。8-10枚ある大きな輪状の葉の中央に、直径6-7cmの白い花が一輪、ひときわ目だって咲く。日本固有種で、学名にもjaponicaの表記がある。1884年に白山で初めて記録された。 花期は6-8月で、よく行く栂池自然園ではいつもお目にかかる。6月の花は新鮮で真っ白であるが、8月になるとやや黄色みを帯び、雌しべも赤くなるが、子房も発達し始める。花の構造はよく見ると複雑で、外側の白い花弁のように見えるものは「萼片」で外花被片と呼ぶ。内側に外花被片と同数の細い棒状の内花被片があり、これが本来の花弁である。子房は緑色だが、秋には黒紫色に熟し、食べられる。 学名は Kinugasa japonicaで、メランチウム科キヌガサソウ属の多年草である。以前はユリ科に分類されていた。白山以東、赤石岳以北の日本海側に多く、青森が北限である。深山の湿った草地に群生する。 |