1000mを越す山で、背丈よりも大きく育ったミヤマシシウドに会うと、ちょっと感動を覚える。草原の中にニョッキリと頭を出しているものもあれば、見事な群生になっているところもある。分岐した太い茎の先に、花火が拡がったような白い花の集団を付けた姿は王者の風格がある。低い山地で見るものをシシウド(Angelicapubescens)、深山で見るものをミヤマシシウド(.. var. matsumurae)と呼ぶと説明されるが、実際には見分けが付かないので、1000mを越える高地ならばミヤマシシウドとしておこう。 ミヤマシシウド以外にも、ミヤマセンキュウ、ハクサンボウフウ、エゾニュウ、オオカサモチなど、美しい白い花冠を茎の先に付ける山の植物は多く、慣れないとなかなか見分けることが出来ない。ミヤマシシウドの特徴を整理しておくと、(1)高さが1.5−2mに達する。(2)葉柄の基部が著しい鞘になって茎を抱く、また花冠の蕾は鞘に抱かれている。(3)総苞片、小総苞片はない。(4)花は5弁で、内側に巻く傾向がある。(5)葉は先の尖った大きな長楕円形で、切れ込みはないが鋸歯がある。 学名は、Angelicapubescens var. matsumuraeで、セリ科シシウド属の多年草である。Angelicaは「天使」の意味。ミヤマシシウドは本州の高山で、シシウドは四国・九州・本州の山地で見られる。花期は7月から8月。 シシウドとミヤマシシウドの違いは上述のように定かでないので、総てミヤマシシウドとして整理した。撮影地とその高度・日時を列記しておく。 菅平自然園、2002.7.27 1250m、 八幡平、2002.8.17 950m、 木曽駒、2005.8.21 2650m 比婆山、2005.9.4 1100m、 入笠山、2007.7.28 1800m、 伊吹山、2007.8.8 1300m 八方尾根、2009.7.16 1900m、 八島が原湿原、2010.7.9 1800m |