ミヤマトウキ−深山当帰
 Angelica acutiloba var. iwatensis
  (2009.7.16(八方尾根−1900m)、2010.8.1(白馬五竜自然園−1600m))


 信州の白馬周辺は高山植物の宝庫である。栂池自然園(1900m)、八方尾根(1900m)、白馬五竜自然園(1600m)など、夏には高山植物が咲き誇る斜面や湿原が目白押しである。ここで沢山のセリ科の大型高山植物に出会うが、慣れないと同定が難しく、その場で名前が言えない。今回はそのようなセリ科植物についてまとめてみた。
 ハナウド属のものは花の形からすぐにわかるが、シシウド属は花が似ており、まずは葉の形で見分けることになる。葉の分裂が少なく比較的単純なものはミヤマシシウドやアマニュウである。一方、シラネニンジン、ミヤマウイキョウ、ミヤマセンキュウ、ミヤマゼンコなどは人参の葉のように細かく分裂する。中間はハクサンボウフウとミヤマトウキである。この2つは先端の葉が3裂するが、ミヤマトウキはその学名にあるように、分裂した葉がシャープで光沢がある。
 花茎の分岐点にある総苞片や小総苞片も見分けるヒントになるが、ミヤマトウキなどは、これらがあっても数が少なく、付いている分岐も少ないので、あまり参考にはならない。
 学名は、Angelica acutiloba var. iwatensisで、セリ科シシウド属の多年草である。本州中部以北−北海道石狩以西に分布する日本固有種(標準標本は岩手県のもの)。花期は7-8月。acutilobaは「鋭い裂片」の意味で、葉の形を指す。

7月の八方尾根で写した、背の低いミヤマトウキ(40cm程度)


以下の写真は8月の白馬五竜自然園。背の高いミヤマトウキ(60cm程度)


ミヤマトウキの花序


よく見ると5弁の花が可愛い


小総苞片があるようには見えない


拡大してよく見ると、細くて小さい総苞片と小総苞片が見えるものもある


学名通り葉は鋭く3裂している


木々のリストへ戻る