北海道網走市の「美岬(みさき)のヤチダモ」 (2003.7.2、2004.4.22、西村さん)


 西村さんからの、北海道26本目の巨木である。貴公子のようにスックリと立つヤチダモの、早春と夏の情景である。以下は、西村さんによる解説です。
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 網走市の近郊に能取湖(のとろこ)がある。海に開口部を持つので、隣のサロマ湖と同様に海水の湖である。風光明媚な地で、秋には真っ赤に染まるサンゴ草でも有名な湖である。そのそばに北海道第2位のヤチダモがある。林野庁の「森の巨人たち・巨木百選」にも選ばれた巨樹です。
 網走から能取岬を廻って国道238号へ抜ける道道76号線の途中、網走市街から15Km位、能取漁港の北数Kmにポンオンネナイ林道の標識がある。それを入って50mほどで駐車スペースがあり、「美岬のヤチダモ入口」と書いた案内板がある。踏み分け道を200mほど進むと、せせらぎのそばにやけに背の高い巨木が現れる。文献によると「幹周り460cm、樹高37m、推定樹齢300〜400年」のヤチダモである。周りの木々と太陽光線の奪い合いで皆一様に背が高く、先端までは見通すことが出来ない。枝も高いところにしかないので、葉を見て樹種を確認することも不可能です。
 写真で見られるように地表2mくらいまでは根が盛り上がったようで、そこから樹幹がすっと立ち上がっている。場所は谷あいのやや広くなった所で、水がすぐそばを流れている。300年の間には洪水も何度か経験したはずですが、しっかりと根を張って生き延びてきたのでしょう。樹勢は旺盛で幹には空洞や腐食は全く見られません。まだ壮年期といった感じです。あまりに背が高いので、どう写真を撮っていいか戸惑ってしまい、翌年の春先に再訪問しました。まだ葉が出ていないので、やっと梢まで見る事が出来ました。写真の木の根元には水芭蕉が写っています。あたりは福寿草やエゾエンゴサクが花を付けていました。このあたりの福寿草は「キタミフクジュソウ」という貴重種ということです。
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 JR石北本線と釧網本線の交点に当たる網走駅から能取漁港まではバスがあるが、これより北の美岬方面へのバスはない。能取漁港からは6kmほどあるので、車を使うことになる。

緑がまぶしい7月の美岬のヤチダモ



早春の美岬のヤチダモ−根元に近くミズバショウが咲く


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