広島県西城町の「熊野の大栃」 (2005.9.4)


 広島県と鳥取県の県境にある比婆山の南麓に、広島県の栃としては第一の幹周を誇る「熊野の大栃」がある。前から一度見たいと思っていたが、何しろ交通が不便である。岡山の方から行くと、新見−備後落合間を1日3本しかない芸備線に乗らねばならない。降りてからがまた、備後落合唯一の道後タクシーのお世話になる必要がある。車を持たないものには辛い訪問である。今回、比婆山訪問を兼ねて思い切って出かけた。
 さすがに立派な大栃である。写真で見ていたときには、根のくっついた2本の栃というイメージであったが、洞のある方の大栃が素晴らしい大きさである。樹高26m、幹周7.1mで国の天然記念物となっている。洞の入口は外から見ると小さく見えるが、中は根の方に向かって深く掘れており、3畳程度の広さがある。熊が何頭も冬眠できそうだ。樹勢も旺盛で青々と葉を茂らせている。横は谷川になっており、この水をたっぷりともらって育ったのであろう。
 この付近には熊野神社や那智の滝があり、まるで南紀に行ったような錯覚に囚われる。その北側は竜王山、立烏帽子山(1279m)そして神域とブナの自然林で知られる比婆山がある。この一帯は広島県の「県民の森」として、夏はハイキング、冬はスキーが楽しめるようになっている。
 JR芸備線を使って広島側から来れば、備後落合までは3時間10分で2時間に1本程度の列車がある。備後落合の一つ前「比婆山」の駅までタクシーに来てもらう方が、熊野の大栃を見るには近い。

左の幹周は約4mで、合わすと11.1mの幹周となる。


洞の入口は狭いが、中は大きな部屋になっている。



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