前々から見たいと思っていた京都府第一位の幹周を誇る「君尾山の大栃」に会うことが出来た。大学級友の松村君が、京都北部に車を出してくれたのである。今や、北近畿の巨木に関しては私よりも詳しくなった松村君と、滝のツバキ、神宮寺のコウヤマキ、そして君尾山の大栃を巡ることになった。まずは、大栃をご紹介しよう。 舞鶴自動車道の綾部JCTを降りて、JR舞鶴線を横切り、府道1号線(小浜綾部線)を走って綾部市東部の山間部に向かう。大町の分岐を300m程越えたところを北に入ると、光明寺への道である。くねった山道を標高430mのキャンプ場まで登り、ここからは更に細い未舗装林道を君尾山頂へと登る。途中の標高500m地点に三叉路があり、左にはいるのが「大栃」への道である。周りは先年の台風のせいで倒木が多い。解りづらい道だが、所々に「オオ栃」と書いた道標があり、見つけるたびにホッとしながら歩く。やがて、道は谷間に下るようになり、そこから5分ほどで大栃に着く。 大栃は、主幹が折れ、根元がぽっかりと空洞になって痛々しいが、残った部分は立派に葉を茂らせている。その大きさは期待以上であった。特に5mほどの所から分岐した枝の太さが、栃の生きた長い年月を思わせる。現在の樹高は23m、幹周は10.4mで、全国で第3位を誇る大栃である。もちろん、京都府下最大の木であり、府指定の天然記念物である。半時ほどを、この老栃と共に静かに過ごしてから、山を下りた。 |