あまり知られていないところにも大きな木が残っている。福島県の奥座敷とでも言うべき秘湯「熱塩温泉」の入口の道路沿いに大きな栃ノ木がある。その写真を娘夫婦から送ってもらった。一緒に温泉旅行をしたときの写真らしい。環境庁調査では熱塩加納村の巨木登録はゼロで、この木は載っていない。 木の根方は大きな祠になっていて、写真からも信仰の対象であることが読みとれる。段差になっているので幹周は分かりにくいが、写真の人物から考えて、4m以上はありそうだ。写真を送ってくれた澁川さんのメールには、「写真は福島県耶麻郡熱塩加納村にある熱塩温泉の宿の脇にあった木です。撮影は、2000年8月頃と思います。立派だったので、思わず撮っておきました。」と書いてあった。詳細は分からないと云うことなので、加納村で短歌のホームページを開いておられる樋口さんにメールをし、この木について伺った。返信には、興味深いお話が書いてあったので、最下段にお便りをご紹介しました。 JR郡山駅から磐越西線の快速で喜多方駅まで1時間40分。そこから1日に7本出る千石沢行きの会津バスに乗って熱塩温泉まで30分。さらに徒歩2分で温泉である。マイカーでは、磐越道会津若松ICから、国道121号線を北上して約25km、喜多方市を出たところで121号線が2つに分かれるが、左側に進路を取る。熱塩温泉は、600年前に示現寺の源翁和尚が開湯したとされる歴史ある温泉で、その名の通り、塩分の強い72度のお湯が出る。寺の付近に6軒の旅館がある。 |
<会津熱塩追分、樋口さんからのお便り> ・・。熱塩温泉の入り口にあります。上部に建築物が建ち、栃の木と並んで生えていた、数本の巨木は枯れてしまいました。 この祠は「ツンポ神様」といって、戦前までは多くの信仰を集め、お参りをする人々が多くありました。小生の子供の頃の(60年前)、村の人たちは必ずお参りをして、祠の前を通り過ぎたものでしたヨ。 現在は高さが、せいぜい1メートルほどですが、昔は大人がそのままで入れたそうです。さてさてそのいわれですが、食事の時に使っていた、古くなったお椀を・・昔はすべて木製でしたから・・お椀に穴を明け麻糸を通して、天井に見える木ノ根に結びつけ、ツンポにならぬように、お願いをするのでした。 今でも下げている方もあり、見えますでしょうか、忘れられたささやかな文化と言えましょう。 |