富山県立山町の「立山杉」
  (2002.6.27)


 立山の美女平付近の杉やブナの巨木群は、荒々しく、そして優しい。特に、6−7月の緑鮮やかな時期のこの森は、見るものに感銘と安らぎを与えてくれる。。冬は10m近い雪に覆われる豪雪地帯である。この悪環境の中でよくこれだけの巨木に育ったものだと、胸が熱くなる。大切に守られている、神社の杉の巨木とは違うのである。
 最初の写真では、この木が如何に荒々しい積雪と戦ってきたか、その悲壮な戦いの様子が見て取れる。幹にぽっかりと空いた大穴は、直径1m以上もある大枝が雪の重みと強風によってへし折られた跡である。木を上から下に辿ってみると、1000年以上と思われるこの木の成長の過程の厳しさが解る。何度も何度も大枝を失っている。
 初夏の美女平は、輝くような緑がブナやトチノキの白い樹皮と見事な対比をなして何とも美しい。極楽のようである。しかし、まだ小さな木々をよく見ると、その殆どが横向けに枝を伸ばしている。雪の重みで上に向かって伸びられないのであろう。荒々しい形相の杉も、穏やかな顔をしたブナも、長い年月それぞれに冬を戦ってきたのである。



トチの巨木を見上げる


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