大学時代に一緒に研究した西垣さんは、延岡の旭化成で勤め上げて、今は自適の生活である。その西垣さんから延岡市にも巨木がありますよと宮崎日々新聞の切り抜きを送っていただいた。「鬼の目山に天然杉の巨木」というタイトルで、天然杉が紹介されていた。屋久島の天然杉は有名であるが、九州本島で唯一の天然杉の自生地とされる延岡の鬼の目山でも巨木が見つかったという記事である。鬼の目山は伐採が進められていたが、宮崎大学の調査で希少な天然杉だと分かり、林野庁の林木遺伝資源保存林に指定された。 その生の写真を是非見たいと西垣さんにお願いしたところ、自分の足では行けないが、鬼の目杉にとても詳しい方を知っているからと、小坂さんを紹介して貰った。小坂さんは連絡を受けてすぐに、代表的な3本の巨木の写真を送って下さった。写真を見たときにはとても嬉しかった。以下は小坂さんによる解説である。 No.1 (仮称)鬼の目西谷の巨大杉 幹囲8.50m 樹高約25m 鬼の目山系最大級。急傾斜の岩壁に根が岩を巻きつけるようにして不安定に枝を幾重にも分岐させて大空へと伸びていた。杉の勢いは良く、葉は青々と茂っており、まるで仁王を彷彿させるような迫力があった。巨大杉に触れると数百年あるいは千年以上の時と空間を感じ、自然の雄大さを感じることができた。また周辺樹木も元気がよく、共生できている感じであった。 No.2(仮称)鬼の目落ち水尾根の巨大杉(宮崎日日新聞記載の杉)幹囲7.16m 樹高約8m 巨大な盆栽。両端は絶壁で切れ落ちた岩壁のわずかな平地に巨大杉は独立して立っている。風や雷による自然災害で倒れたとみられる約15mの主幹部と、もう一本の副幹部は白骨化していた。残された幹も幹囲の大きさに比べて樹高が低くバランスが悪い。また周辺のスズタケは枯れてしまい土地の保水能力が低下していることが推定できる。数百年あるいは千年以上ある巨大杉の永久的保存の必要性が求められると感じた。 No.3 鬼の目杉(広く知れ渡っており現在保護活動がされています) 幹囲5.02m 樹高約20m 有名な「鬼の目杉」。今は枯れてしまった副幹部も含めた幹囲は9.83mであった。枯れた副幹部は主幹部と一体化しているが別個体にも見える。現在鹿よけネットの設置等保護活動が進んでいる。 |