久しぶりに熊本県小国町周辺の巨木の探訪に出かけた級友の田平さんの写真である。重複するものもあるが、黄葉盛りの下城の銀杏の写真などは見事であった。まずは、初めての登場である「金比羅杉」からご紹介しよう。 金比羅杉は、樹高28m、幹周12.4m、樹齢1000年と推定され、熊本県最大の杉の巨木である。熊本県の全樹種の中でも第4位の幹周を誇り、昭和34年に国の天然記念物に指定されている。その様子を、田平さんは次のように書いておられる。「金比羅の大杉は少し山の中を分け入った頂上部分に幾本かの、これも巨大な杉に囲まれて鬱蒼としたところに目を見張る巨大な姿で立っていました。元禄年間と昭和の初めの二度の火災でかなりの被害を受け、とくに上の方が落雷による消失のため残念ながら無惨な状態になっていますが、もしそんなことがなかったならばどんなに見事な巨木になっていたかと思いました。」 実際、元禄年間の落雷で幹が裂け、昭和4年の落雷では、空洞内に火災が発生して19時間も燃えたと言われる。更に平成3年の台風でも主幹や枝が損傷を受けたが、腐朽防止などの保存処置の結果、現在では樹勢を取り戻している。 満願寺は、鎌倉時代に北条時定が瀬戸内海の航行の安全を願って建立したとされ、その時植えられた杉が、この金比羅杉だと言われている。この地にあった満願社は、明治29年に山麓の満山神社に合祀され、杉だけが残った。 JR博多駅交通センターから杖立温泉行きの高速バスが1日4本出ている。これに乗ると約3時間で杖立温泉である。ここから、小国町役場前へは1時間に1本程度の産交バスが出ている。満願寺へ直接行くバスは1日3本しかないので、タクシーを使って満願寺に向かうことになる。満願寺の裏山を少し登ると金比羅杉である。車の場合には、大分自動車道の日田ICから212号線に乗り換え、大山川に沿って南下する。杖立温泉を経て、小国町から南小国町に入ったら、最初の道を左折して川を渡り、南小国町役場前を過ぎて南東に4kmほど進むと左手に満願寺がある。 |