京都市東山区の「祇園しだれ桜」 (2004.4.3)


 京都に居ながら、なかなか機会の無かった夜桜見物に家族で出かけた。天気は良し、気温も快適な週末とあって大変な混みようで、四条河原町から八坂神社まで、商店街のウインドウを見ながら、ぞろぞろと歩いた。八坂神社の門をくぐってから桜に辿り着くまでがまた一苦労である。枝垂れ桜の手前には花見用の小さな桜が沢山植えられていて、その下は花見客で一杯である。周りのお店がそれぞれに場所をしつらえて、今日一日で1年分を稼ごうと躍起になっている。枝垂れ桜に近づくと、携帯電話を振りかざして写真を撮ろうとする人々が、まるで万歳をしながら踊っているようだ。
 とはいえ、こんな人出もまた、春の風情と思えば、無風流に文句を言って怒ることもない。桜はさすがに見事である。先代の桜は枯死してこれは2代目であるが、元の桜の実生から育てたものと言われる。
 ここ円山公園は明治19年に開設された、日本でも最も古い公園の一つである。公園全体には数100本の桜が植えられ、東山を借景に見事に春が演出される。青蓮院から清水寺までは花小路が作られていて、春の宵をそぞろ歩くのに最適の場所である。「清水を祇園へよぎる桜月夜 今宵会う人みな美しき」(与謝野晶子)、うまく詠んだものである。円山公園にはあちこちに篝火が燃えて、これもまた妖しく美しい。






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