群馬県中之条町の「市城のサイカチ」 (1999.7(小森さん)、2010.8(ひじりさん))


 小森さんから届いたのもう一つの群馬県の木である。 県指定の天然記念物のサイカチの木で、JR吾妻線の市城で降りて、国道沿いにある。 自称「日本一のサイカチ」と看板が出ている。
 環境庁調査によると、樹高14m、目通り幹周り4.9mとある。サイカチの木としては 有数の物であろう。以下は、小森さんが銘板から写し取って下さった説明です。
 「樹齢約600年、目通り17尺、5.6m、宮城県刈田郡のさいかちと 並び称される名木である。樹の実は往古に於いて馬を洗うのに用いられた。 この地一帯は延喜式に依る朝廷の御牧であって上野九牧の一、 王朝時代市代牧と称され天歴元年八月(約一千余年前)には 名馬白波を村上帝に献上した。源平の時代、清和源氏の直流が此の地に牧監として赴任、岩井堂城にあったことも確実視されている。更に下って戦国時代天正八年(380年前)沼田城代となった海野能登守輝幸の愛馬も市城黒と称して此の地の産である。 寛保二年(210年前)の大水害に於いて被害を受けたが、 爾来狩野家の鬼門除の樹木として現在に至っている。」
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 11年の歳月を経て、新しいサイカチの写真が届いた。今回は、群馬県で女性仲間で巨木観賞会を開いておられる「ひじりさん」からの投稿である。メールには、
「29日暑い中 吾妻線の長野原草津口駅より歩いて2k余り目指す長身の大ケヤキはダム工事のため伐採されたと近所の方より耳にしました。横壁諏訪神社もなく 山手のほうに移転させて、新築されていました。仕方なく 市城のサイカチへと 電車で 駅より5分ぐらいで道路沿いに元気な姿拝見。駅広場で遅い昼食・弁当をたのしみました。」とあった。
 前回と比べると写真の解像度はぐっと上がっている。11年を経ても「サイカチの木 日本一」の看板は汚れることもなく手入れされて、しっかりと屋根にかかっている。この木を愛する人達の気持ちが伝わってくる。八ッ場ダム建設の犠牲となって切り倒された横壁諏訪神社の大ケヤキの分も、このサイカチには元気で頑張って欲しいものだ。

ひじりさん撮影の市城のサイカチ(2010.8)


以下は小森さん撮影のサイカチ(1999.7)



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