福岡県宇美町の「湯蓋(ゆぶた)の森」 (1998.7.31)


 福岡市内から出ている「宇美車庫行き」のバスに乗って、宇美八幡宮で降りると、 目の前に神社の鳥居がある。クスノキが見事な神社である。ここに紹介する 「湯蓋の森」の他に、「衣掛の森」を代表とする数本の巨木がある。
 社殿の右手に、「湯蓋の森」と呼ばれる本当に森のように見えるクスの木があり、 樹高20m、目通り幹周り15.7mで、福岡県第4位の巨木である。幹周としては、同八幡の 「衣掛の森」の方が大きいが、均整のとれた樹容は「湯蓋の森」が勝る。 大枝を悠々と四方にのばした姿はいつまで見ても飽きない。
 伝承によると、神功皇后が朝鮮の新羅より帰られる途中、 この地で応神天皇をご出産になったという(日本書紀)。 元々の地名は蚊田であったが、天皇のご出産に由来して「生み(宇美)」という 地名になった。このクスは、応神天皇が使われた産湯の蓋のような役割をしたので この木を「湯蓋の森」と呼んだという。
 応神天皇は、15代の天皇で仁徳天皇の父とされ、 大阪府羽曳野市にある応神天皇陵は、仁徳天皇陵につぐ日本第二の大型古墳である。 時代は四世紀後半と考えられるので、事実とすればこのクスノキの樹齢は 1500年以上ということになる。
 なお、宇美八幡宮には、福岡からJR篠栗線で長者原に行き、 ここで香椎線に乗り換えて終点の宇美で降りてもよく、駅から徒歩5分程度である。




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