静岡県函南町の「函南原生林のブナ」
 (2002.10.27)


 杉の幹にはキリッとした厳しさを感じるのに対して、ブナの幹は優しい。白とグレーのまだら模様が緑の葉とよく似合う。幹の伸び方も適度にくねって、大きな枝幹を手のように広げる。函南原生林は、箱根では数少ない広葉樹の森である。他の山々は、杉の植林とクマ笹に覆われて、情緒がない。函南原生林の一帯だけは、優しい木々が覆い、初夏の緑と秋の紅葉が楽しめる。
 その原生林を巡る道はよく整備されており、2時間ほどで一周できるが、高低差は結構ある。熱海から箱根に向かうバスの十国峠登山口の次、「函南原生林入口」で降り、ここから富士箱根ランド近くまで250mを下る。北側の道の途中にはアカガシの巨木があり、反対に南を回るとブナの巨木に出会う。
 ブナの巨木は、当初日本一とされていたが、探索が進むにつれて、他の場所でもっと大きな木が見つかっている。しかし、目通り6.35m、樹高24m、樹齢700年の巨木は、なかなかの貫禄である。大抵のブナの巨木は綺麗なすべすべした幹をしているが、さすが数百年を経ると、幹が波打ったように凹凸が出来るようだ。
 この森には、赤い幹のヒメシャラやリョウブ、縞模様の幹を持つイヌシデやカエデ、そしてシラキ等がそこここに見られる。名標板があって木の名前も教えてくれるので、ゆっくりと木々を見ながら歩きたい。



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