インドに出張することになった。お目当ては、カルカッタにあるという
世界一(?)広い木である。 出張の用事を終えた最後の日に、インドで最初に出来た研究所(IACS)の先生に 案内してもらって、カルカッタの植物園を訪れた。この植物園は、イギリスが インドを植民地にしていた時代に、有用なものを持ち帰ったり栽培したりする目的で 東南アジアの主だった木をここに集めたのが始まりである。いくつかの木は、 ロンドンの、Kew Gardenの温室にも持ち帰られて保管されているはずである。 植物園は広大で、お目当ての「Great Banyan Tree」を見つけるのにかなり時間が かかった。 近づくと、さすがに大きい。まったくの森である。とても一本の木とは思えない。 樹高25m、樹齢240年で、大したことはないが、広がりの周囲は420mにも達する。 国立競技場などの一周400mの陸上トラックを連想してみれば大きさが分かる。 この木が何の支柱もなくこのように広がれるのは、次々と気根が成長して太くなり 自分で支柱を作って行くからである。現在のところ、気根の総数は2800本にも 達している。まだ次々と気根が垂れ下がり、地面に達すると太くなって 更に枝を延ばしているので、100年後にはもっと大きく膨れ上がっていることであろう。 Banyan treeの学名は、Ficus bengalensis L.(Moraceae)で、イチジク科に属し、 同じく気根を発達させるアコウやガジュマルの仲間である。 |